2021年3月9日

2/6(土)「学びあいフォーラム」オンライン 実施報告

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学びあいフォーラム事業では、2020年度オンラインで交流会を実施したり、「オンライン学びあい」(10月・12月)を実施してきました。今回、2020年度の締めくくりとして、「学びあいフォーラム」を2月6日(土)に実施しました。

「学びあいフォーラム」では、これまで本事業に参加してきた団体が、持続可能な地域づくりのためにどのような学びあいのプロセスをつくってきか、地域の変化変容について自身の言葉で語っていただき、聞きあうことを目的に実施しました。

ゲストには、とよなかESDネットワーク(TEN)から、上村 有里さん、小池繁子さん、森由香さん、正阿彌崇子さん、をお招きし、みた農園から三田善雄さんをお招きしました。

ゲスト、スタッフを含む30名が集まり、これまでに学びあいフォーラム事業に参加した団体の皆さん、各地で持続可能な地域づくりに取り組む皆さんや、DEARの理事なども参加しました。

プログラム

とよなかESDネットワーク(TEN)のお話と、参加者からの質問など
みた農園の三田さんのお話:100ha規模の山林伐採計画(200ha規模のメガソーラー開発事業)への大井地区町内会の反対活動と、参加者からの質問
全体ディスカッション
ふりかえり

1)とよなかESDネットワーク(TEN)のお話:「協働の文化」づくりについて(森さん、上村さん)

豊中市と「協働の文化づくり事業」

豊中市は、大阪市のベッドタウンで、人口約40万人ほどで、「住みたいまちランキング」「住みやすいまちランキング」上位に入っており、医療、福祉、子育て(待機児童が少ない)、教育、交通機関などが充実している。しかし一方で、生活保護受給率も高く、住みやすさどころか、生きづらさを感じている人もいる。

そこで、TENでは、ESDを推進しながら、協働をすすめていくためのプラットホームとなる団体として、誰もが自分らしく生きることができるような、持続可能な社会づくりを目指している。

「協働の文化づくり事業」とは、豊中市に既存の「協働事業市民提案制度」を使った事業で、市民側から提案をし、行政側の担当課が決められて、進めていくものである。「協働」について、過去の協働事例や現状の制度について検討を行うことにより、「協働」のあり方を検討し、あわせて、市民と行政が「協働」について学べる場を提供することにより豊中市において協働が文化として根付くことを目的としている。

行政と市民との「協働」→協働していることになっているけど・・・

「協働の文化づくり事業」を提案した背景としては、「協働事業市民提案制度」はあるが、実際には成案化する事業が少なく、制度として見直しが必要ということが見えてきた。

なぜ、制度が利用されないのか?募集から事業実施まで1年以上かかり、説明や意見交換会など、事業提案前にも時間的拘束がある。そもそもどういった制度なのか市民と行政の双方で理解されていないこともあり、制度があっても利用しにくい状況になっている。説明会には多くの団体が参加するが、提案に至るまでが少ない。これではもったいないのでは?と考え、平成29年度にTENが申し込み、平成30年度から事業を開始した。

協働して「協働の文化」をつくろう!

協働の文化をどう作っていくか?といったときに、まずは、共通認識・共通言語をつくるために、共有できていないものの整理から始めた。市民団体や庁内各部署へのヒアリングとアンケート調査を行った。結果を反映して協働のガイドブック「豊中流協働のコトはじめー協働を楽しむ・たしなむー」(無料ダウンロード可)を作成した。

現状としては、協働の材料はあるけど、うまくマッチングして動かしていくためのスキルやレシピがないという行政の声が挙がってきた。制度そのものの見直しについては、行政職員側で検討している。引き続きかかわっていくために、TENも、提案制度に再エントリーを考えている。

事業にかかわって何が見えてきたのか?

お互いの文化の違い(仕事の進め方、手順の複雑さ、お金の使い方・・・など)で円滑に進まなかった。お互いのあたりまえが大分違ったことに苦労した。例えば冊子をつくるときでも、デザイン性をよくしようとうすると、デザイン料をどこから出すのか?というところから行政と揉め、また、TENとしては、パートナーとして考えていたデザイナーさんを、行政側では、下請けとして考えていた。文化が違うと、一つ一つの前提が違う。異文化であることを理解したうえでの最善策を見つける折り合いをつける。文化にするというのはこういうことだと感じた。

「協働の文化」は豊中市におけるESDにどのような影響を与えているのか?

「単なる協働=共同ではなくて、文化になるためにはお互いに学びあいが必要」(行政側の言葉)。積み重ねが文化につながっていく。何かをするときに、協働の文化が広がり根付くことによって、日々の活動に反映されていくと感じている。持続可能な開発のためにどんな学びをしていくか、どういった教育を市民の間や行政との間に根付かせていくか、がキーになる試みだと感じている

TENの今後の活動に何をもたらすか?

既存の事業に「参加」するというよりも、「参画」することだと感じている。必要だから一緒に考えましょう!というスタンス。もたらすというよりも基盤となるもの。制度の見直しで提案しているが、制度の見直しは目的の一部。他者と一緒に、何かを進めていくことはベースになる。お互い学びあいながら、気持ちよく協働を進める「文化」を根付かせていきたい。

学びあいフォーラムからの学び

TENは2016年に「学びあいフォーラム」に参加した。他団体との交流会というイメージで参加したが、実際には「TENがどうありたいか」「TENの意思決定のプロセスや企画はTENが目指す社会の実現に対して適切であるかどうか」などが問われる場だった。その場では戸惑いや不満の方が大きかったが、振り返ると原因はこちらが学び合いフォーラムの趣旨を理解していなかったことだと思う。

こういったことは協働でもしばしば起きているのではないか。つまり、協働をすすめるうえで、前提や思い込みがあると一緒に何かしたいという気持ちがあってもうまくいかない。分かってくれてあたり前という気持ちがあったりする。

うまくいかなかった時に、どちらかが悪いのではなく、すり合わせをしていくことが必要。お互い当然異文化なので、理解していかないといけない。協働の文化づくりも、同じような背景があり、すり合わせが必要。行政と市民のすり合わせが必要。

学びあいフォーラムに参加したことで、団体のよさや目的を共有し、振り返るきっかけになって、よかった。今年5年後にまた参加させてもらって感謝している。

小池さんのコメント

すり合わせの難しさや、行政と民間の文化の違いをまざまざと見せ詰められた。他にもいろいろな場面でもある。環境が違う者どうしでやっていくにはどうすればよいのか、と考えた3年間だった。

正阿彌さんのコメント

協働はESD。協働に関わる人同士が学びあう状況になるまで到達したときに、協働の良さが発揮され根付いていく。事業だけでなく、波及効果がある。そこまで分かってくれる人がいたら、地域は変わっていくのではないかという可能性を感じている。

<グループからの質問や意見

その後、グループに分かれて、気づきや学びを共有し、質問したい事などについて話しました。以下は、参加者からの質問とそれに対する回答です。

?参加者協働の文化づくりという言葉が印象に残った。協働するということは文化だというのが発見。文化とは従来、地域で培われてきたものであるが、新たに文化づくりをするという意味だった。協働の文化づくりの中で、これまで培われてきた社会関係などはどう接続しているのか、それともまったく新しいものが出来上がっているのか?人付き合いなど昔ながらのつながりが、スライドした形でこの取り組みにも影響しているのか、昔ながらの関係がない中で、進められているのか?
小池さん豊中は市民活動が盛んで、人が資源であると言われてきた。今の時点で懐疑的な部分もある。その豊富な人材をどう活かしていくのか、がポイントになる。その人たちをうまく必要とされているところに、マッチングするのか、必要な事業や課題に対して、資源を持っている人をどう結び付けていくか?が協働のだいご味なのではないか。
上村さん豊中は、転入出が多い。住みたい町にランキングされている。新住民が多いところも見逃せない。いろいろなことができる人が多いのに、つながっていない。人と人が出会いやすい文化が醸成されていないのでは。昔はつながっていたのは切れてしまっているのも、再びつなぐことも文化づくりなのではないかと感じている。
?参加者説明会には参加するが、成案化する件数が少ないということだが、TENが入ったことによって、地固めをしてきた。特に、行政とTENで協働してきたことを、これから新しい団体に対して、どうやって文化にして、広げていくのか。楽しみでもあり、新たな折り合いやすり合わせが必要であること、TENではない団体がどう思うのか、ということをグループ内で改めて伺った。
?参加者協働という言葉が、なじみがなかった。言葉として息づいていることにおどろいた。行政が市民活動に寄り添ってすすめるのは珍しい。形はあったが、実際に実践できることになったということをグループ内で話した。行政との苦労を具体的に聞きたい。この問題にどういうきっかけで気づかれたのか?
?参加者もともとの原点やモチベーションについて。若者のサポートなどとはどのように関連させて進めているのか?
小池さん市民公益活動推進条例ができたことで、市民活動は行政と協働していきましょう、という基盤になった。16~17年前にできた条例なので、仕組み自体がマッチしなかった。提案に対して、役所自身が既にやっているという理由で不採択となることが多かった。一緒にやるという考え方に慣れていなかった。当時の市民活動を推進している人たちからすると、行政は敵。反体制側の人間が体制側と組んでどうする、という人たちが多かった。そういう団体の人たちは協働には当時は手を挙げなかった。行政からは丸投げの下請けか、行政だけでできるということが多かった。市の下請けで、専門性が活かされなかったことが多かった。
正阿彌さんTENとしても地域をよくしたい、子どもたちに未来を明るく持ってほしいと思った時に、自分たちだけでやると、一部の人にしか届かない。だから行政と一緒にやる必要があると感じていた。行政と一緒にやるのは本当に大変だった。このままの協働のあり方では、課題解決につながる協働にはならないということが、TENのなかで感じている人もいた。そのなかで、協働提案が出てこない、という話を聞いてこのような流れになった。

2)みた農園三田さんのお話:100ha規模の山林伐採計画(200ha規模のメガソーラー開発事業)への大井(おおい)地区町内会の反対活動

学びあいフォーラムと三田さんの関係(学びあいコーディネーターの西さんより)

2018年スタディツアーで岡山に10人程度で大井地区訪問。学びあいづくりをどう取り組んでいるのかを伺いに行った。また、2018年の開発教育全国研究集会のゲストとして、2019年に「学びあいフォーラム」研修参加者として参加いただいた。

TENの話とは違う印象かもしれない。状況も外から開発問題に住民が否応なしに巻き込まれている中での学びあいの話をしてもらう。地域の開発がどのような方向に向かっているのか、そのためのどんな学びあいをつくっていっているのか、について話してもらう。

三田さん自身と背景

急遽100haのメガソーラー開発計画が持ち上がった。それに対する反対活動についての話をする。

大学進学を機に上京し、都内の基礎自治体外郭団体の職員だった。現在は実家のある岡山で農業をしている。水稲栽培、原木シイタケの栽培、アヒル農法、畜産、農業体験など実施している。源流にはホタル、上流域にはヤマアカガエルがいる。

こういった地域に、3年半前に急遽メガソーラー開発計画が持ち上がり、説明会が開かれることになった。開発計画の概要として、開発面積全体は186ha、推定240億円の事業費。2018年4月から工事の開始、2019年売電開始の予定であったが、いまだに工事が始まっていない。

開発計画を進めるには、林地開発許可と環境アセスメントを通さないといけない。林地開発許可は1haを超える場合、災害の防止、水の確保、水害の防止、水の確保、環境の保全などの点で精査する必要がある。環境アセスメントは、環境にどのような影響を及ぼすのか、事業者が調査・予測し、評価を公表するもの。地方公共団体から、意見を聞いて保全の観点からよりよい事業計画を作る制度であり、止める、禁止するという制度ではない。

太陽光発電施設をめぐり、問題が起きている。資源エネルギー庁の相談窓口に4年間で600件。9割が太陽光発電に関する。地元の理解を得ないまま、事業を進めることへの懸念声が最も多い。

計画について 

2017年7月に説明会、2018年4月工事開始、2年後の11月に売電開始という説明だった。固定価格買取制度(FIT法)の施行により、認定されてから3年で売電を開始する必要があった。連合町内会として反対の決議がされ、その流れで、市長に嘆願し、2019年4月に岡山市環境影響評価条例が制定された。アセスの猶予期間で2年延長され、2022年の売電開始となっている。これを過ぎると売電期間の20年が削減されるため企業は損失につながる。

環境アセス条例が制定される以前活動では、林地開発許可を認可しないよう、市議会と県議会に対して陳情を出した。それぞれ市長には県知事にたいして反対と言ってほしい、県知事には林地開発許可に賛同しないで欲しいという陳情を出した。市議会には採択されたが、県議会の方は継続審議になった。

2018年の7月に西日本豪雨が発生した。川の上流域での大規模開発に対して地域全体がセンシティブになったこともあり、県議会への陳情も採択された。同年の11月議会での県知事の答弁では、開発の技術指針の見直しや、太陽光発電施設の設置禁止区域を定める条例、太陽光発電事業のはアセスへの再入などへの言及があった。現在、4万Kw以上の太陽光の場合は国が環境アセスを実施することになっており、主管が経産省になっている。

音沙汰がしばらくなかった事業者から2020年の8月に、環境アセスメントをやるという電話が急に町内会長にかかってきた。これにより、コロナ禍で活動できていなかった定例会も急遽復活し、情報収取し、行政関係のための陳情の準備を始めた。環境アセスメントや、開発許可が出た場合、儒民から意見を出す機会があるので、そのための勉強会を実施している。

事業者には住民説明会を丁寧に実施してほしいと伝えている。既存の制度に評価項目はあるが、そこに近隣地域への不安の感情に応えるような項目はない。定められた指標だけでなく、声や気持ちに耳を傾けてほしい。

反対活動の経緯

事業者の説明会があってから近隣住民の初動が早かったこともあり、連合町内会長が中心に地域全体で反対活動を実施することになった。この活動は市長への陳情(環境アセスの設置)につながったが、中核を担ってきた数名(70代)が疲弊。報告会で、その現状を危惧した若手のメンバーが合流し、情報整理や発信もできるようになってきた。活動も全国紙へ掲載され地域でも注目を集めるようにあり、署名を集めて関係各所への陳情にもつながった。

2018年に西日本豪雨が発生したインパクトが大きかった。ただ計画に対して反対活動をすればいいのではなく、災害、防災、地域の課題を向き合うことが大事という話が出てきた。同年12月には里山活性化研究会に名前も変更した。活動も多様に展開していくようになった。 

里山活動研究会の活動

定例会は延べ65回、1300時間。議論のテーマは反対活動以外に、再エネ、生物多様性、地域の開発、気候変動、地域交通、地域教育なども。情報発信、活動報告、HPの作成、発信もしている。

署名活動をイベントでの実施、8381筆集めた。地区の9割の世帯にも署名をもらった。議会への陳情をし政治参加の経験も重ねている。勉強会の主催、フィールドワークの実施、学びあいフォーラムメンバー等の視察受入、講師派遣なども実施し、3年半で多様な経験を重ねてきている。

経験の蓄積を今後の地域づくりにどう活かしていくのか

外の目を通して、地域住民が活動をふりかえるのが大事。3年半の間に外の目に触れる機会があった。学びあいフォーラムメンバーが訪問して、2018年パーム油のワークショップを実施。全研でのプレゼンや資料作成は省察の機会にもなった。

2018年に12月に、学びあいフォーラムメンバーによる視察。フィールドワークやハウスでのワークショップ、コンパス分析のふりかえりを実施した。2019年11月には、シャプラニールの全国キャラバンを受入、地域減災、防災、地域について、里活研のメンバーと意見交換をした。機関誌への寄稿や、今回の発表も重要なふりかえりの機会となっている。

こうした経験の蓄積を「学びあい」としてとらえ直してみたり、その場を形作っている活動を「コーディネート」としてとらえ直したり、また、これらの視点あわせながら活動全体を見つめ直す「ふりかえり」が有用だと感じている。里活研のメンバーとのふりかえりや、個人的なふりかえりの機会も、地域の活動をふりかえりこれからのことを考えるのに役立っている。

里活研とのメンバーとのふりかえり

『地域が地域を物語る』(全4回)という勉強会の形で「ふりかえり」を実施している。2021年1月に実施したフィールドワークでは、災害の歴史や生き物について話を聞いた。2月には、かつて岡山市の自然公園計画があった場所に、専門家を招きフィールドワークを実施し、午後には植物と防災、地域の防災事業の歴史などをテーマに講演会を行う予定。

個人的のふりかえりと文化的反抗

機関誌の執筆を通じて、なぜこんな状態が起きているのか。なぜ地域の不安の声が届かないのか。どうしたらいいのかを考えた。この課題意識とこれまでの経験とがマッチしたのは、ロジャー・ハートの文章。

開発から取り残される当事者の体験やその声は、環境アセスメントのような科学的な手法では顕在化しにくく、評価の対象になりにくい。それは地域の直面する開発計画が、土地の特質や文化習慣など全く知らない遠くの人の手で、決まってしまっている現状にも要因があると考える。そして、自分自身を含めた、その土地に住む人その人自身もまた、その土地や文化習慣を知らない「遠くの人」になっていはいないかとも感じている。

どうしていったらいいのか。ある矛盾を感じている。事業者や投資家は、再生エネ事業の推進を通して、SDに貢献していることを本気で言っている。一方で、地元には、生活環境の持続可能性をのぞむ不安の声がある。後者の声は、前者の事業計画からは排除されてしまっている現状があり、そこある持続可能性が持続可能性を排除するという構造に矛盾を感じている。そしてその矛盾の要因は、目的合理性とういう思考形式自体が孕んでいると感じており、それを問題化したり、相対化する軸足を持っていく必要があると考えている。それはロジャーハートの言うが「文化的反抗」なのかもしれない。

「文化的反抗」とは、「精神的で、直観的、魔術的」なもの?「文化的反抗」としての「学びあい」とは?地域・個人の省察が重なり合う場で、地域が地域を物語ったり、文化的反抗について語り合ったり学びあったりする場を作っていければと思っている。

<グループからの質問や意見>

三田さんのお話の後、グループに分かれて、気づきや学びを共有し、質問したい事などについて話しました。以下は、参加者からの質問とそれに対する回答です。

?参加者活動を進める中で、色んなメンバーがいる中で、どうやって合意形成をとっていたのか?
?参加者 女性のメンバーがいるのか?関わり方は?持続可能性の矛盾が難しい。具体的なことを含めて話してほしい。
?参加者 世代の年齢差がある。若い人をどう巻き込んだのか、活動自体地域の人をどう巻き込んでいるのか。
三田さん連合町内会の里活研のメンバーを今回は紹介した。夜の会議は男性が出るのがまだまだ一般的。ただ、男性だけが活動しているのではなく、婦人会、JA婦人部などもある。女性が中心になっているグループや、地域で役割を兼任している女性もいる。色んなグループ、立場の人とできるだけコミュニケーションを取るようにしている。

地域内には、興味がない人、反対の人もいるはず。総意ではないが、合意形成の形としては、連合町内会、単位町内会会長が集まるという形で、合意形成をしていくことは重要視している。消防団、公民館、校長などいろんな人と情報共有しながら、都度都度合意形成しながら進めているが、その中でも情報がいっていない、関心がない、という人もいるはずで、一人ひとりとはコミュニケーションが取れていないこともある。
三田さん 地域だと、通常顔を合わせるのは70代以上の方。休みに地域活動に顔を出す若い人はいない。若い人をどうやって参加してもらうのかは課題である。次回のフィールドワークに20代の方が参加する。ぜひ参加してほしいと声をかけた。色んな世代に地域をもっと知ってもらいたい。それぞれの世帯には守ってきた土地を子どもに引き継ぐという課題もあり、こういう機会をチャンスとして使ってもらいたいとも言っている。自分自身が色んな人とのつながりがあるので、そこにメガソーラーを持ち込んで、多様な合意形成の契機を摸索してもいる。

地元で山仕事を教わっている師匠たちは、狩猟で猪を取ると、連れて行った犬も一緒に、肉を均等に分けていた。2019年に参加した学びあいの入門セミナーでは、参加者の研究しているある地域の先住民族が、狩猟して取った人はその肉をもらわず、コミュニティの人に分けるという話も聞いた。そういう文化性があることを知った。こういった文字になりづらい事柄に目を向けながら、地域に息づいていることを見つけ足場にしていきたい
?参加者今の活動の今後について改めて聞きたい。教育や地域の資源をむすびつけることがかなめになるのでは?
三田さん資源や教育リソースは大事。里活研の町内会の活動だけではなく、小学校の受け入れ、公民館での講師、岡山市のESD活動を中核的に牽引して来た方に講師に来ていただいたり、岡山市の各教育文化行政と連携もしている。そういった連携の中で、学びあいの場を企画をしている。
ネットワークを作りながら、学びあいながら、そこを足場にしつつ、活動を進めていきたい。現在の地域課題としては、認定こども園の新設や地域公共交通の維持などもあり、それについても話し合う場にしていきたい。
?参加者文化的反抗としての学びあい。誰とどんな風に、どう学びをつくっていくのか。イメージがあれば。これまでの学びあいの仕方で、それだというものがあれば。
三田さん持続可能性という言葉を目的にした瞬間に、排除しないといけないものが出てくる。排除されるものの中にも持続可能性がある。持続可能性にも質の違いがある。目標に向かって合理的に進める中でそこに入らないものがたくさんある。それを前提に相互補完的な持続可能性を多様に手会していくのか?根本的に相対化していくオルタナティブ価値を想像していくのか?それ自体を目標にした瞬間、色んなものを取り残してしまうという矛盾ははらみながらも、自身のよって立つ位置や価値を認識しつつ。一つの足場として学びあいをつくっていくのが大切なのでは。
?参加者ソーラーパネルの寿命
三田さんパネルによって寿命は違うが、20年以上あるのではないか。まだわかっていない。パネルの廃棄について問題になっている。放置されているものがあり、問題になっているし、今後はさらに問題が拡大していくと感じる。

3)全体ディスカッション

参加者から出された質問を、コーディネーターで集約し、以下の二つの質問について、TENの皆さんと三田さんにお話しいただきました。

①協働の文化づくりや持続可能性という言葉の中から、こぼれてくることや人をどこまで包摂できるのか、言葉に関する認識のずれから生じる排他性についてどう考えるか?

②メンバーや地域の方々の考え方や価値観がどのように変化していると思いますか?

?質問1協働の文化づくりや持続可能性という言葉の中から、こぼれてくることや人をどこまで包摂できるのか、言葉に関する認識のずれから生じる排他性についてどう考えるか?
上村さん現場に近く動くということ。仕組みを作っていく中で話し合う人だけではなく、アクターを増やし、入り込んでいくこと。入っていくことでしか分からないこともある。そこで丁寧にすり合わせること。
小池さんTENではいろいろな活動や課題への取り組みを地域で行っている。協働の文化づくり以外にも、団体がどれだけ課題を拾って動けるのかが難しい。行政も市民の課題を拾い上げるのが役割だが、拾いきれないので、分担して拾っていかないといけないと思う。そのために複数の団体とかかわること。
正阿彌さん「持続可能な社会」はこれだと定義づけ、事例を挙げることにより、こぼれ落ちる人は出てくると思う。言葉は生き物。定義づけや事例で挙げられたもの言葉が完成系ではないと思うことが重要。みんなで作っていく、柔軟なものであり、変更や修正を常にしていくもの。
参加者から行政と同じ言語になってしまうことへの弊害はあるのか?
上村さん 協働という言葉は使わず、文化になることが目指すところ。
小池さん探していたのが共通言語だった。多文化共生でもそう。お互いの言葉や文化を大切にしないといけないが、まったく同じ言葉になってしまうと弊害になる。そこは意識して気を付けてやって行かないといけない。
上村さん協働は「今日、どう?」しようと言っていた(笑)
森さん協働は同じ言語というより、怖くないんだよ、違う文化を持っているけど、協働できるということ分かればよい。協働の文化づくりという表現をしているが、辞書をつくりたいわけではないので、まあ、やってみようよ、と感じることが協働の始まり。
参加者から三田さん、持続可能性を共通言語で話すことの認識のずれなどあるか?
三田さん思い出した体験があった。学生時代にパウロフレイレを学んでいた時に、寿町の識字教室に連れて行ってもらった。その識字教室を主催されていた大沢さんが「教室に通われる生徒さんが人生で初めて文字したものを目前に、僕自身が学校教育で積み上げてきた価値観が音を立てて崩れるという経験をした」とお話されたのが印象的だった。言語化されないできた蓄積のなかに、生きていくために大切なモノを感じとれる機会、それを求めていく姿勢が大事だと感じている。こぼれ落ちる人はたくさんいる。自分自身もこぼれ落ちる経験をしてみて、そういう中に入れない人たち、そして自分自身にもいかに寄り添うか、その眼差しを大切にしたい。
?質問2今までの活動に関わってきた人たち、の変化変容、自分自身の気づき、変化を教えてください。
上村さん行政職員が変わってきているというのは感じている。先日の会議では、僕たち協働ネィティブ世代だという声が職員から出てきている。一方でまだまだ変化が必要で、変化をしないといけない、ということもある。協働のためには学びあいが必要であるという声が行政職員からあり、その学びあいには市民や大学の先生がいて、行政職員以外の人がいる必要があるという声は大きな変化。
森さんTENの活動の中で「とよなか地域創生塾」という、いわゆる市民大学の手伝いをしている。コロナ禍によりイベントができないことが多く、絶望を感じたりや継続したことが分断されてしまうということが多かった。「とよなか地域創生塾」はなんとか実施できたが、参加していた塾生はコロナのせいでできなかったことを言わずに、来年度何をするかをポジティブに考えていた。比較的、前向きに学ぼうという姿勢がある人が多いことに感動した。一方で、こぼれ落ちてしまう人、情報機器を持っていない人、そういう人たちを学習機会の保障教育という面でどうしていくか考えていかないといけない。
小池さん学ぶことを積極的に楽しんでやっていることを感じた。その意欲をそぐも延ばすも組織の上の人次第というのもある。最大限に力を発揮できるよう、できることから何かやっていくこと。若い行政職員が思い込み過ぎないことが重要。そうじゃないよ、ということを気づいてもらえればよい。市民の声が怖かったり、上司に承認されない板挟みで悩むケースがある。
上村さん思い込みは自分たちもそうである。思い込みは凶器にもなることを実感している。
正阿彌さん結婚、出産をしている人で、結婚や出産前から市民活動をしていて、その後も活動を継続している人は少ない。結婚や出産をしてもできるような活動を考えていかないと、結婚、出産同世代の人の地域活動への参加は難しいのでは。同級生には「ボランティアは年がいってからでしょ」と言われてしまう。その上でさらに協働ということが考えていくことは、難しい。ライフスタイルが変わっても、地域活動に参加できる状態をつくることで、多様なが地域活動や協働に参加できる。地域活動や協働がより、多様な人の視点で考えられるようになってほしい。
三田さん地域の時間、人が持っている時間はそれぞれ平等。学びあいは常に起こっている。そこにある学びあいの時間の質はどうか?ということもある。自分の地域ではピンチが起きて、それをチャンスにどう変えるのかずっと悩んでいる。例えば連合町内会のある部会の定例会として1300時間・人を持てたのも、地域全体の変化で、このまま消えていく可能性もあるが、そこはとても大きいこと。それは参加している人がみんな感じていると思う。フィールドワークに、様々な人が関わるようになった。連合町内会長が、自分が責任をもってやっていくということを言っていた。地域から遠くなっていた地域の人が地域と向き合い、新しい取り組み始めていることも大きい。

4)全体会(ふりかえり)

今日の学び、気づき、考えたことをグループに分かれて話した後、数名に全体共有してもらいました。

?二つの話で共通しているのは、学びのあり方。行政も目的合理性からしたら、地域の話を聞かない方が早い。お互いに変化して、新しいものが生まれる、という教育を受けてきていないので、ひずみが出てきていると感じた。学び方を今後も深めていきたい。ソーラー開発してほしくない、山の管理、地主が売らないで、地域全体で管理できるような、守れるような仕組みが社会でできたらいい。

?質問は、行政と市民の関係を聞いていると、住民に働きかけるところが、自発性に任せられているのか?市民との協働の研修、整備されていないのか?自分もメガソーラー設置の当事者。いつの間にか着工していた。足守地区のアイデンティティ、アピールポイントがあるから、反対運動を成し遂げられるのか?でも同時に、そうではなく、山里を売ってしまうほど、着目していなかったが、開発の中で地域を再発見していったのか?

→コロナでなかったら、研修をしている。行政から市民に出す、というのも制度として存在している。

→課題があって、地域のことを捉え直す人が増えた。地域にある物語を再発見して、関わる人が物語っていくプロセスを一緒に作っている。そういう活動自体もアピールポイントになるかもしれないと考えている。

二つの課題提起をきっかけに、地域の協働の文化づくりや、持続可能な地域づくり、そのためのプロセスや学びあいについて深く考えることができました。参加者も自分自身の地域の課題や取り組みを振り返る契機にもなり、とても貴重な時間でした。ゲストの皆様ありがとうございました。

参考資料: 住民が大反対!メガソーラー建設になにが?(KSB)

機関誌『第67号 気候危機と私たち』「気候変動対策と持続可能な地域づくり」

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