2020年11月30日

実践事例⑩「持続可能な地域づくりのための地域資源『見える化』ウォーク」と「マップ作りを通して変化した、まちの見え方・暮らし方」~コロナを経てふりかえる」

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持続可能な地域を描くわくわくマップ作りプロジェクト

八王子市民のがっこう「まなび・つなぐ広場」では、2017年秋から「持続可能な地域を描くわくわくマップ作りプロジェクト」を実施しました。もちろん新型コロナウイルスで世界が一変するとは夢にも思っていなかった頃です。

八王子は東京都の最も西側に位置し、かつては絹織物の街として繁栄していました。現在は昔ながらの商店は減りつつあり、都心への通勤圏としてのベッドタウン化が進んでいます。

プロジェクトチームの私たちも八王子に移住してきた新住民であり、暮らしている地域のことをもっと知りたい、フェアトレード等がどこで買えるかなど、持続可能な暮らしにつながる人やスポットを見つけたい、地図として見える化すれば、他にも同様の情報を求めている人の役に立つのではないかと企画したのですが、思った以上に発展的なプロジェクトになりました。

どんなマップにするか、何を掲載するのか、ゼロから参加者と共に見つけていこうと参加型ワークショップの連続講座を企画、完成形は主催者自身もわからない期待と不安が入り交ざる状態でスタートしました。が、持続可能な地域や八王子の資源とは何か、それぞれが持つイメージを共有してみたら、まちの見え方は人それぞれ多種多様で、広大な八王子のどこをどうマップに描けばいいのかわからなくなってしまいました

まちの魅力を探して話し合いを重ねた

模索する中で、偶々ご縁があった真鶴出版(神奈川県真鶴町にて独自の地域資源マップを作成していた)のお二人に来ていただき、ワークショップを実施しました。出てきたキーワード「主観的」から、自分たちが作る地図は「自分たちにとって魅力的で持続してほしい地域資源」を発信するもの、全八王子ではなく小さなエリアでもいいことを実感し、方向性が定まっていきました。

真鶴出版さんが来てくれた

マップについての話しあい

地域資源『見える化』ウォーク

その後実施したまち歩きは、2つのチームに分かれて半日歩きました。筋書きのないまち歩きは発見の連続で、知らなかった八王子が見えてきました。

その後、改めて何を地域資源として「見える化」するのか話し合いを重ね、個性豊かな新旧の個人商店、市民活動のスペースや福祉作業所、まちをつなぐ大通りなど、掲載する場所やエリアを選んでいきました。

その過程で、大量の情報や均一なモノがあふれる社会で、効率や目的に縛られないで「歩く」ゆとりを自分たちも失いかけていることや、まちなかに息づく長年の営みに改めて気づき、ここにある充足感を発見しながら顔の見えるゆるやかなつながりを作りたい、住み続けたくなる地域の魅力を発信したい、と「つづく地図」を完成させました。

まち歩きの様子(まちの人と話す)

チームに分かれたまち歩き、集合してシェアの様子

マップ作りを通して

完成した地図は掲載スポットを始め、つながる場所に置き、人に渡し、時折地図を使ったまち歩きをするなど発信を続けました。

2019年には八王子の別のエリアで「つづく地図」第2号を作ろうと動き始めていたところ、コロナ禍が発生したこともあり、年度内に完成させることができぬまま、今に至っています。

完成した地図

完成した地図の中身

このプロジェクトを経て自分自身もまちの見え方や暮らし方が大きく変わりました。スーパーよりも個人商店を利用したり、日頃から歩くことで見えていなかった地域の風景を発見したり、暮らしの範囲がより狭く、より濃厚になったと感じています。

プロジェクトを始めるにあたって漠然と持っていた自分のライフスタイルへの違和感や持続可能な社会を実現したいという気持ちは、プロジェクトメンバーとのまち歩きや度重なる話しあいを通して、言語化され、明確になり、また地図という形になったことで、その後の暮らし方のヒントを形に残すことができました

一人では絶対に作ることができなかった「つづく地図」、ゼロから始めて形になった一連の過程はまさにメンバー同士の学びあいの実践であったと感じています。そして、このような参加型で一人ひとりの思いや価値観を共有しながら、「自分にとっての地域」を言語化していくことが、私たちの「地域づくり」として大切なのではないかと感じました。

コロナを経てふりかえる

コロナ禍の中、今あらためて「つづく地図」を作った意義を感じています。密になる大型スーパーよりも開放的な空間で地域の情報や近況などの会話ができる個人商店のありがたさを実感したり、遠出をせずに暮らす中で生活に必要な身近なスポットを知り、私にとっての地域の豊かさをあらためて実感したり。

コロナを経て、満員電車で都心に通勤すること、効率や生産性重視の社会のあり方への疑問から持続可能な暮らしの実践にシフトしている人が増えてきたように思います。今だからこそできること、今こそ考えたいことを、「つづく地図」第2号の作成を進めながら、話し合い、学びあい、あらためて自分たちの「地域」を考えていきたいです。

〈プロジェクトメンバーの声〉

👣 あの最初の町歩きの直後は、この楽しさをどのように地図に落とすか、落とせるか?とワクワクしました。できればそんな町歩きを最低数回やって、みんなで共有して地図に落とし込めたらもっとよかったなと思います。実際はみんながそろって集まれるのは、かなり難しいから理想かもしれないので、一人一人が心がけて、町歩きをしてもっと色々な情報をもちよれたらよかったという感じかなぁ。

👣 その後もひとりで町歩き、発見を続けたり、同じ店にまた訪ねたりして、つながりと愛着みたいなのができるようにやっているメンバーもいたけれど、ほんとはそこまでみんながもっていけたらよかったです。

👣 地図のテーマについて話しあった、あれは面白かった。実際は話しあいの時に出たものより少し広がってしまったかもですが、けっこういいものが出ていましたね。結の会(注1)での作業(※刷り上がった地図を折る作業と結の会の和紙で作った鳥のマスコットを貼る作業を、結の会のメンバーさんと地域の大学生さんと一緒に行いました)も、楽しかったです🎵

鳥を一枚一枚貼り付ける

結の会にて会のメンバーさんと地元の大学生と一緒に作業

👣 地図レイアウト的にも、もっとわかりやすく、できたんじゃないかなぁとか反省もいっぱい(やっぱし手描きの地図が好きなんだけど、時間がかかるね、、、) 。 それと、当初の目標の八王子をもちっと好きになれたらなというのは、自分の中に、「八王子がこうだったらな」という自分なりのイメージも大事なんじゃないかなと思います。コロナの中で、グローバルでなく、ローカルだ〜〜!!!と再認識したんでまたいろいろ考えていきたいです。

(注1)結の会(「NPO法人結の会」):1984年に様々なハンディのある人たちが地域で共に暮らし、働き、生きていける場を作りたいと出発した八王子の福祉作業所。今回の地図作りに結の会のスタッフが参加。まなび・つなぐ広場のプロジェクト「くらし・つなぐ広場」では結の会のジャムを定期販売している。

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